鉄くずを正しく処分する方法|処分時の注意点なども解説

家庭から出る鉄くずには、家電製品の部品や釘など、小さなものから大きなものまでさまざまです。普段は意識しない鉄くずをいざ処分するとなると、どのごみに分類されるのか、捨てるにはどうすれば良いのか迷うものです。
小さな鉄くずは、通常の家庭ごみとして処分できます。本記事では、鉄くずの処分方法について注意点なども交えながら解説します。
- 「鉄くず」の種類について
- 排出先別の鉄くずの処分方法
- 処分する際の注意点
目次
「鉄くず」について
生活の中で鉄は多くの場所に使用されているものの、廃棄される鉄くずについて一般的に馴染みがないものです。鉄くずにはさまざまな種類があり、鉄くずになる過程によって分類が異なります。
本章では鉄くずの種類や分類、リサイクル率の高さについて詳しく解説します。処分を検討する際の参考にしてください。
鉄くずにはさまざまな種類がある
- 上銑くず(じょうせんくず)
- 並銑くず(なみせんくず)
- 炭素鋼くず
- 低りん・低硫・低銅炭素鋼くず
- 雑用鋼くず
鉄くずには二種類あり、「銑(せん)くず」と「鋼(はがね)くず」に大きく分けられます。銑くずは上銑くずや並銑くず、可鍛鋳鉄(かたんちゅうてつ)銑くずです。
上銑くずは機械や道具銑などに使われ、並銑くずは鍋やかまなどに使用されます。鋼くずは炭素や雑用の鋼くずなどのほかに、定道炭素くずと合金鋼くずがあります。
加工しやすい鋼は、炭素のみの炭素鋼と特殊鋼です。銑くずと鋼くずの違いは、鉄に含まれる炭素の含有量です。
鉄くずになる過程の違いによって分類が異なる
自家発生スクラップ | 鉄鋼メーカーが製鋼や製品加工する工程で生じる |
---|---|
市中スクラップ | 製品として市場に出回った後に出る |
鉄くずは過程の違いにより分類が異なり、自家発生と市中の二つのスクラップに分類されます。自家発生スクラップは、鉄鋼の製造業により再使用されるのが主流です。
市中スクラップは一般家庭から出る鉄くずが含まれる可能性が高く、さらに二つに細かく分類されます。自動車や機械などの製造工場時に生じる工場発生スクラップと、車両の解体や建築物・使用済みの鉄製品などから生じる老廃スクラップです。
市中スクラップは、解体業者が鉄以外のものを除去してスクラップ加工業者へ引き渡す方法と、回収業者による回収の二通りが一般的です。回収された鉄くずは圧縮や破砕、切断などの加工が施され、再利用されます。
鉄くずはリサイクル率が高い
「日本鉄リサイクル工業会」によると、市中スクラップは年間約2,550万トンが回収・リサイクルされています。国内消費や海外への輸出により社会に還元されるため、積極的なリサイクルが推奨されているのです。
鉄鋼蓄積量とは、日本国内で使われ、なんらかの形で国内に残っている鉄の総量を指します。残っている鉄の形態は、ビルや橋などの建築物・家電製品・自動車・カミソリの刃などさまざまです。
現在の鉄鋼蓄積量は14億トン以上で、増加傾向にあります。鉄くずの発生量は鉄鋼一時量の約2~3%で、残留量が多数発生しているのです。
家庭から出る鉄くずの処分方法
家庭から出る鉄くずを処分する場合、多種多様な方法が考えられます。本章では下記の4つの処分方法について具体的に紹介します。
売却費用を抑えたいのか、買取を希望するのかなど、自分の条件に合った方法を選びましょう。
- 自治体の一般ごみとして処分する
- 粗大ごみとして自治体で処分する
- 自治体のごみ処理施設に直接搬入する
- 家庭から出る鉄くずに対応している買取業者を利用する
- 不用品回収業者に依頼する
自治体の一般ごみとして処分する
鉄くずを自治体で処分するときの分類はさまざまです。たとえば、一般ごみの中でも不燃ごみとする場合や、資源ごみ・金属ごみに分類される自治体もあります。
地区により異なるため、居住地区の鉄くずの分類は何かを事前に確かめることが必要です。収集日は月1~2回の自治体が多く、予約不要で指定日に出すだけで処分できます。

一般ごみとして処分できる自治体例
鉄くずの分別は各自治体によって異なります。例に挙げた下記自治体でもそれぞれ異なりますので、居住地域の「ごみ分別ルール」などに沿った適切な分別を心がけてください。
自治体名 | 分別の区分 | 出せる鉄くず【品目例】 | 出し方 |
---|---|---|---|
東京都新宿区 | 金属・陶器・ガラスごみ | 刃物・針・カミソリなど | 収集は月2回・危険物は厚紙などで包み「危険」と表示し、収集日の朝8時までに集積所へ搬出 |
愛知県名古屋市 | 不燃ごみ | 針・釘・刃物・ハサミなど | 収集は月1回・戸別収集となり、収集日の朝8時までに自宅前搬出 |
神奈川県相模原市 | 資源ごみ | 釘・クサリ・のこぎり・ナイフなど | 週1回の収集日・朝8時30分までに決められた集積所に搬出 |
粗大ごみとして自治体で処分する
大きさや重さによって、鉄くずも粗大ごみ扱いとなるケースがあります。粗大ごみは各自治体で定義は異なるものの、多くの自治体は決められたごみ袋に入らないものや、一定のサイズや重さを超えるものとするケースが多いです。
自治体の粗大ごみとして処分する場合の手順は、まず粗大ごみ受付センターなどへ電話かインターネットで申し込んでください。料金分の粗大ごみ処理券を購入し、処分したい鉄くずに貼付・指定場所へ指定の時間までに搬出という流れが一般的です。
粗大ごみの戸別収集は、申し込みから回収まで1週間から1か月以上かかる場合もあります。さらに一回につき何点までと数量制限がある場合もあるので、各市町村のルール確認が必要です。
自治体の利用では手間がかかるものの、数百円〜千円台の場合が多く、安い処分費用で済むのがメリットと言えます。
粗大ごみとして処分できる自治体例
鉄くずを粗大ごみで処分できる自治体を抜粋して表にまとめました。なかには、粗大ごみとして回収せずごみ処理施設のみ対応という自治体もあります。
粗大ごみと分類されていても、長さによっては不燃ごみになる自治体もあるので確認が必要です。
自治体名 | 分別の区分 | 粗大ごみとして出せる鉄くず | 出し方 |
---|---|---|---|
愛知県名古屋市 | 粗大ごみ | 圧力鍋(30cm以下は不燃ごみ)・ガスコンロ・シャベルなど | 月1回収集 ①粗大ごみ受付センターへ電話予約かネット予約 ②手数料納付券を購入・貼付(納付券250円・500円) ③収集日当日朝8時までに指定場所へ搬出 |
長野県長野市 | 不燃ごみ | 自転車・一輪車・三輪車など | 4週間に1回収集 ①粗大ごみシールを購入・貼付(シール40円) ②収集日の朝8時までに地区で決められた集積所へ搬出 |
沖縄県沖縄市 | 粗大ごみ | 鉄アレイ・鉄パイプ・鉄板など | ①電話またはインターネットから予約申し込み ②処理券を購入(処理券300円) ③指定日に搬出 |
自治体のごみ処理施設に直接搬入する
自治体の不燃ごみや資源ごみでは週1回〜月1・2回の収集となっているため、早く処分したい場合は自治体のごみ処理施設に直接搬入する方法があります。自己搬入の手順は簡単で、まずごみを積んだ状態で受付し、申請書に記入後一度目の計量を行います。
指定された場所にごみを降ろし、再計量して手数料を支払えば完了です。ごみ処理施設では予約が必要ない場合が多いですが、なかには予約が必要な施設もあるので確認が必要です。
重量計量制が多いため、10kg単位で何十円~何百円となっており、戸別収集と比較しても安価で処分できます。自己搬入の場合は、重たいものや大きなものでも自分で運ばなければならず、車での搬入が必須です。
自治体のごみ処理施設に直接搬入できる自治体例
ごみ処理施設に直接搬入できる自治体例として、以下の3か所を紹介します。北海道札幌市の破砕工場は、発寒・篠路・駒岡と地区ごとで3か所に設けられていました。
年末や大型連休期間は混雑が予想されるので気をつけてください。
自治体名 | 分別の区分 | 持ち込める鉄くず例 | 持ち込み方法 |
---|---|---|---|
北海道札幌市 | 不燃ごみ | 金属製台所用品・ガスレンジなど | 3か所の破砕工場あり 受入時間:月曜日~土曜日(祝日含)9時~16時まで 焼却手数料10kgあたり200円 |
大阪府大阪市 | 資源ごみ | 料理用鉄板(最大辺が30cm以下は資源ごみ)など | 居住区を担当する処理施設に電話予約 家庭系ごみの受入曜日:火曜日~金曜日、受入時間:9時~11時、13時~15時 10kgごとに90円 |
福岡県筑紫野市 | 粗大ごみ | 自転車・金属類製品など | 搬入受付時間:平日9時~16時・土曜日9時~12時、13時~15時まで 10kgあたり150円 |
不用品回収業者に依頼する
家庭から出る鉄くずの処分方法として、時間も手間もかけたくない人におすすめなのは不用品回収業者への依頼です。回収・処分を不用品回収業者に依頼すれば、即日対応する業者もいるためスピーディーに処分できます。
大量の不用品がある場合や重量のあるものでも自宅まで回収に来てもらえるので、便利に利用できます。不用品回収業者では基本料金などが含まれるパックプランが用意されており、不用品が多いほどお得です。
ほかのごみや不用品もまとめて処分できるため、多くの不用品が混在していても部屋が綺麗に片付けられ、快適な空間となるでしょう。
事業所から出る鉄くずの処分方法
事業所から出る鉄くずの場合、「一般廃棄物」とは異なり、「産業廃棄物」となります。産業廃棄物とは事業に伴い生じるごみの中で、法令で定められた二十種類のごみのことです。
二十種類に該当しない廃棄物はすべて一般廃棄物で、事業系廃棄物も一般廃棄物に含まれます。本章では事業所から出る鉄くずの処分方法を紹介します。
買取専門業者に依頼する
事業所から出る鉄くずなどを買取専門業者へ依頼するのも有効な方法です。鉄くずはリサイクル率が高く、廃棄する鉄くずがお金になるためお得です。
買取先は金属加工業者や専門買取業者となり、インターネット検索でも見つけられます。自宅から近い場所にある買取業者から探してみてもよいでしょう。
遠方であっても出張の買取を行う業者もあるので、前もって買取業者へ確認する必要があります。売却する場合の費用相場は、変動もあるため算出がむずかしいです。
買取価格は1kgあたり数十円~数百円が一般的で、取引単位は100kg単位で設定されていることが多いです。何百kg・何トンの鉄くずとなれば、相当な金額になるでしょう。
産業廃棄物の処分ができる不用品回収業者に依頼する
事業所から出る鉄くずは産業廃棄物処理業者への依頼方法があるものの、専門となるため産業廃棄物のみの処分となります。不用品回収業者では産業廃棄物のほかにも回収可能な品目が多く、すべてをまかせられるので便利です。
産業廃棄物を回収する場合は「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要となるため、許可を取得している業者に依頼してください。許可の取得状況は問い合わせ時に確認したり、業者の公式Webサイトの会社概要などでも確認可能です。
自治体で鉄くずを処分する際の注意点は?
自治体で鉄くずを処分する際に、いくつかの注意点があります。自治体での処分は家電リサイクル法の対象製品や危険性のあるものなどによって、自治体で処分できないものやルールに従って処分しなければならないものがあります。
本章では二つの注意点について詳しく解説するので、確認してみてください。
家電リサイクル法対象製品は法律に基づいて処分する
家電4品目であるエアコンやテレビ・冷蔵庫・洗濯機は、家電リサイクル法の対象製品となるため鉄くずとして処分できないのです。処分する場合は購入店でリサイクル料金を払い引取りを依頼するか、不用品回収業者へ依頼するかの法律に基づいての処分となります。
新しい家電を購入する場合は、購入店により引取り料金が無料となる可能性もあります。買取サービスのある不用品回収業者ならば、処分したい家電が状態も良く使用できる場合に限り買取可能です。
自分で運び出せる場合は、指定引取り場所に運搬し引き渡す方法もあります。郵便局で家電リサイクル券を受取り必要事項を記入し、家電リサイクル券にリサイクル料金を添えて窓口に振り込む流れです。(振込手数料必要)
危険性のある鉄くずの処分は自治体のルールに従う
危険性のある鉄くずには包丁やハサミなどがあり、処分する場合はまず危険物かを確認して各自治体のルールに沿って処分する必要があります。危険を伴う鉄くずには、カセットボンベなどのガス缶やスプレー缶、カミソリや塗料缶も含まれます。
ガス缶などは、穴を開けて処分すれば良いと思う方も多いでしょう。適切でない方法で穴を開けると危険な事故につながる恐れがあるため、現在は環境省から「穴を開けずに処分を」と各自治体へ通知が出されています。
たとえば札幌市では、「中身を使い切って穴を開けず、燃やせるごみとは別に透明または半透明の袋に入れて出してください」となっています。包丁やカミソリなどは厚紙などで包み「危険」と表示して出すなど、各市区町村のルールを確認しておいてください。
鉄くずを処分する際に注意すべき不用品回収業者の特徴
- 申し込みや見積もりの際にスタッフの対応が高圧的
- 事前の見積もりよりも価格を下げて買取を行う
- 無料の出張買取はしても後から高額な費用を請求する
鉄くずを処分する際に注意する不用品回収業者の特徴は、申し込みや見積もり時のスタッフの言動に注視する必要があります。利用者が質問しているにもかかわらず、説明が不十分で高圧的な態度を取る不用品回収業者は避けた方が無難です。
見積もりは1社ではなく複数社から取り、業者Webサイトの確認や見積もり時の対応などから比較して選ぶことをおすすめします。買取サービスを行う不用品回収業者も多く、見積もりの際に提示された額よりも極端に下げて買取を行う業者は気をつけた方が良いでしょう。
また、当初は無料で出張買取しますとしながら、買取査定を行った後になり高額な費用を請求する業者にも注意が必要です。無料という言葉を巧みに使用し、作業後に追加請求する悪質な不用品回収業者も存在します。
トラブルに巻き込まれないためにも問い合わせの際、あらかじめ気になる点について質問してみてください。
鉄くずを処分する場合の費用相場は?
鉄くずの処分で主な4種類の処分方法を利用する場合の費用相場は、下記の通りです。資源ごみとして処分可能な鉄くずは、一般ごみの位置づけとなり、多くの自治体において無料で処分できる可能性が高いです。
自治体での粗大ごみ回収の利用やごみ処理施設での自己搬入の場合は数百円からとなっており、業者を依頼する場合と比較しても費用を安く抑えられます。不用品回収業者の少量回収となる単品回収では割高になるので、利用の際は不用品をまとめて処分するとよいでしょう。
自治体で資源ごみとして処分する場合 | 無料の可能性が高い |
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自治体で粗大ごみとして処分する場合 | 数百円~千円台 |
自治体のごみ処理施設に搬入する場合 | 10kgあたり数百円 |
不用品回収業者に依頼する場合 | パックプラン1万円から |
鉄くずの処分は不用品回収センターがおすすめ
- 相談・出張・見積もり無料
- 見積もり後の追加費用なし
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---|---|
料金 | ssパック 4,800円~ |
営業時間 | 365日24時間受付 |
買取制度 | 有り |
電話番号 | 0120-949-966 |
公式HP | https://suisan-portal.jp/ |
50,000件以上の回収実績のある不用品回収センターでは、多くの品目を回収可能としています。一般的な不用品処分はもとより、鉄くずも適正に処分させていただくので安心です。
回収できるか迷われるものもスタッフにご相談いただければ柔軟に対応しているので、気軽にお問い合わせください。自治体では処分できない家電リサイクル法の対象製品である家電4品目も、回収可能です。
状態の良い家電であれば高価買取となるよう、尽力させていただいております。回収費用から買取額を値引きしておりますので、さらにお安くできます。
【まとめ】鉄くずは種類ごとに適切に処分しよう
本記事では、鉄くずの処分方法や注意点などを紹介しました。リサイクル率が高くリサイクルの優等生とされる鉄くずを、正しく処分することで資源も無駄なくでき循環型社会への貢献にもつながります。
鉄くずにはさまざまな種類があり、種類ごとに適切な処分をする必要があります。自治体利用や買取業者・不用品回収業者を活用する一般家庭から出る鉄くずの処分方法は、詳しく紹介しているので自治体例と共に参考にしてみてください。
鉄くずを処分したいと検討している方は、自分の状況に合う方法で鉄くずを正しく処分しましょう。